発達障害の知能検査は、個々の知的能力や認知機能の状態を評価し、支援や教育方針を考えるために重要な役割を果たします。
ここでは主な検査の種類や目的について解説します。
知能検査の主な種類
1. WISC(ウェクスラー式知能検査)
対象: 5歳から16歳
目的: 全般的な知的能力の測定
WISC(Wechsler Intelligence Scale for Children)は、子どもの知的発達を評価するために最も広く使用される知能検査です。
言語理解、知覚推理、作業記憶、処理速度の4つの領域を測定し、全体的なIQ(知能指数)だけでなく、各領域ごとの強みと弱みを把握します。
発達障害の子どもに対しては、特定の認知機能が得意・不得意である場合が多いため、支援策を考える上で非常に有効です。
2. WAIS(ウェクスラー成人知能検査)
対象: 16歳以上
目的: 青年期・成人の知能評価
WAIS(Wechsler Adult Intelligence Scale)はWISCの成人版で、同様に言語理解、知覚推理、作業記憶、処理速度を測定します。
青年期以降の発達障害の人に対して、社会適応能力や就労支援に役立つ情報を提供します。
3. 田中ビネー知能検査
対象: 2歳から成人
目的: 知能の発達段階を測定
田中ビネー知能検査は、フランスの心理学者ビネが考案した検査を日本に導入したもので、年齢に応じた問題を出題することで、知能年齢を測定します。
発達障害の子どもや成人の知的能力が、その実年齢に対してどのくらい発達しているかを評価することができます。
4. K-ABC(カウフマン式知能検査)
対象: 2歳6か月から18歳
目的: 認知機能の多様な側面を評価
K-ABCは、従来の知能検査とは異なり、個人の認知スタイルに焦点を当てて評価します。
たとえば、情報処理能力や学習スタイルを測定することで、発達障害の子どもがどのような方法で学習しやすいかを把握できます。
特に、学習障害や注意欠如・多動症(ADHD)の評価に役立ちます。
知能検査の目的
1 知的能力の把握
発達障害の人は、特定の領域で優れている一方で、他の領域に困難を抱えている場合があります。知能検査を通じて、それぞれの強みと弱みを明らかにし、最適な教育や支援の方針を立てることができます。
2 早期発見と早期介入
特に乳幼児期に行われる検査は、発達障害の早期発見に役立ちます。
早期に発達の偏りを把握することで、適切な支援を受ける機会が増え、発達を促進させることが期待されます。
3 適切な支援プログラムの作成
学校や家庭、医療機関などでの支援計画を立てる際に、知能検査の結果を元に具体的な目標設定やアプローチ方法を決めることが可能です。
特に、個別の教育支援計画(IEP)を作成する際に活用されます。
4 進路や就労支援の指針
成人に対しては、知能検査の結果をもとに就労支援プログラムを作成し、職業選択のアドバイスを行うこともあります。
5 自己理解の促進
検査を受けることで、自分の得意なことや苦手なことを知ることができ、自己理解が深まります。
これにより、適切な対処法を学び、自己肯定感を高めることにもつながります。
知能検査は、発達障害の特性を理解し、適切な支援を行うための大切なツールです。
発達障がい支援センターでは、各種検査を行っていますので、気になる方はぜひカウンセラーにご相談ください。