こんにちは、発達障がい支援センターの神谷今日子です。
突然ですが、あなたは、発達障害の方の極端な思考に悩んではいませんか?
・誰かのことをすごく褒めていたのに、少し時間が経つと、最低な人だとののしる。
・急に夢を熱く語り、何かを始めたと思ったら、その後すぐに冷めている。
・徹夜する勢いで何かの作業に没頭し、その後、何もできなくなる。
・たまたまテレビ等で見た知識を強く信じ込み、自分にも他者にもそれを強要するようになる。
・急に自信満々になったり、自己肯定感が低くなったりする
など、様々な場面で、発達障害の方の極端な思考は顔を出します。
発達障害当事者の方も、この極端な思考で疲弊しますし、周りの人も、振り回されて疲弊してしまうことがあります。
今日は、この、発達障害の方の極端な思考の原因や、解決方法についてお話していけたらと思います。
発達障害の方の極端な思考の原因①脳の構造の問題
発達障害とは、現代の医学では、生まれつきの脳機能の障害とされています。
例えば、発達障害の方は、脳内の神経伝達物質(ドーパミンやノルアドレナリン、セロトニン)が不足していると言われ、やる気や感情のコントロールが難しい一面があります。
他にも、認知(物事の捉え方)が独特なものになりやすい一面もあります。
そうなると、脳の構造上、極端な思考にもなりやすくなるのです。
ここまでご説明すると、じゃあ、発達障害の極端な思考は生まれつきのもので、解決できないの?と思われる方も多いかも知れませんね。
ただ、そんなことはありません。
次の原因を確認してもらえればと思います。
発達障害の方の極端な思考の原因②観念(思い込み)の問題
私たちは、主観的な価値観で、世界を見ています。
これを、「観念」といいます。「思い込み」と言っても良いです。
この「観念」が強く極端なものであればあるほど、思考も極端になっていきます。
例えば、「失敗してはいけない」という観念(思い込み)を強く持っている子どもの場合、
学校のテストで少し失敗しただけでも、「失敗する僕は何をやってもダメなやつなんだ」と、極端な思考になりやすくなります。
他にも、今まで失敗しない素晴らしい人だと思っていた人が失敗している様子を見たら、「あいつは失敗するダメなやつだ」など、極端な思考になりやすくなります。
失敗することは誰にでもあることなのに、観念があると、その一つ一つを重く受け止め、極端な思考になってしまうのですね。
「観念」というものが、極端な思考を生み出していることはおわかりいただけたと思います。
しかし、この「観念」は、その人にとっては当たり前のことになっているので、普段生活していても、気付けません。
そして、気付いて修正していかない限り、時間とともにどんどん強化されていきます。
先ほどの例で言えば、
「失敗してはいけない」という観念がある状態で失敗する
↓
「失敗する自分はダメなやつだ」という極端な思考になる
↓
「失敗する自分はダメなやつだから、これからは失敗は絶対にしてはいけない」とますます強い観念になる
↓
また失敗した時に、さらに自分を追い詰めるような極端な思考が生まれる
……
と繰り返してしまうのです。
ですから、心理療法の、認知行動療法や観念修正療法で、この「観念」に気付き、変えていくことが大切になるのですね。
ということで、発達障害の方の極端な思考の原因と解決方法についてお話させていただきました。
発達障害の方の極端な思考の原因は、
①脳の構造の問題
②観念(思い込み)の問題
の2つで、
観念(思い込み)を変えていくこと(認知行動療法・観念修正療法)で、②の問題を解決することができる
ということでした。
その子の特性にもよりますが、②の問題を解決することで、極端な思考は減っていきますし、薬物療法をやらなくてよくなるケースも多々あります。
発達障害の方の極端な思考でお悩みの方は、ぜひ参考にしていただければと思います。
ということで、今日は、心理カウンセラーの神谷今日子がお送りしました。