こんにちは、発達障がい支援センターの神谷今日子です。
あなたは、発達障害の方の思い込みの激しさに振り回されることはありませんか?
あなたは、発達障害があり、自身の思い込みの強さに悩んでいませんか?
発達障害の方は、思い込みが激しい傾向にあります。
例えば、
・急に怒り出す
・急に泣き出す
・突然、かんしゃくを起こす
・独特なこだわりがあり、それができないと不安になる
・ネガティブな思い込みがあり、自己肯定感が低い
……
などなど、思い込みによって、様々な問題行動や二次障害が引き起こされます。
実は、私自身も発達障害と診断されていることもあり、
・白黒つけやすい
・感情のコントロールが苦手
・こだわりの行動ができなくなると、感情が暴れ出す
・自分なんか…という思いが強く、自己肯定感が低い
といった困りごとを抱えていました。
今は、心理学を学んで、トレーニングを積んだおかげで、大分改善されています。
そこで、今回は、発達障害の方の思い込みへの対策方法を取り上げたいと思います。
発達障害の方の思い込みに悩んでいる方は、ぜひ読んでみてくださいね。
発達障害の方はなぜ思い込みが激しいのか?
発達障害の方は、なぜ、思い込みが激しいのか?、疑問に思った方もいらっしゃるかもしれませんね。
これは、発達障害の方の脳の特性によるものです。
私たち人間は、脳でたくさんのことを処理しています。
こうしよう!こうしない!
普段はこれはするけど、今日は時間がないから、これはしない!
これはこうやるのもいいけど、ああやるのもいいかもしれない…。
など、色々な情報や条件で判断し、処理しています。
しかし、発達障害の方は、脳の特性で、それらをたくさんおこなうのが難しい傾向にあります。
すると、どうなると思いますか?
多くのことを考えることができないため、一つのことに過剰に縛られやすくなります。
そして、一度、そう思い込んでしまうと、なかなかそれを変えられないということが起こります。
例えば、特定の動作をした時に、たまたま何かがうまくいったとします。
一般的には、このような出来事があっても、多角的に考え、判断し、「たまたまだよな~」と思って終わりですよね。
しかし、発達障害の方は、「こうすればうまくいくんだ!」と思い込みやすく、それをどんな時でも実行しようとします。
本人は、もう、いつどこで、「こうすればうまくいく!」と思ったのかすら忘れてしまっているのに、それをずっと続けているということもあります。
他にも、テレビで何気なく、「これはよくないんですよ」と言っている人がいたとします。
一般的には、得た情報を自分で考え、本当にそうなのか?そうではないのか?を自分で判断しますよね。
しかし、発達障害の方は、誰かが言っていたことをそのまま、「これはよくないんだ。こうしてはいけないんだ。」と思い込みやすいのです。
すると、それをしている人がいた時に、激しく怒り出す、自分自身がそれをしてしまった時に過剰に自分を責めるといったことが起きます。
本人は、いつどこで「こうしなければいけない」と思ったのか、忘れてしまっていることも多いです。
ここで大切なのは、周りからしたら、「えっ?」と思うことでも、発達障害の方は、すごくまじめにそう思い込み、行動をしています。
そして、「こうなんだ!」と一度思い込んでしまうと、周りが後から別の意見を言っても、なかなか聞けないのです。
まとめると、
発達障害の方は、色々なことを同時に考え、処理することが苦手な傾向にある。
なので、一つの思い込みに縛られやすく、一度思い込むと、そこから抜け出すことがなかなか難しくなってしまう。
だから、思い込みが激しくなってしまい、白黒つけやすかったり、感情がコントロールできなくなったりしてしまう。
ということです。
叱る・自分を責めるという対策はおすすめしません
発達障害の方が、思い込みが激しい理由、理解していただけましたでしょうか?
じゃあ、叱って直させよう!と思う親御さんや、自分で自分を責めて直そうと思う発達障害当事者の方も多いかもしれませんね。
しかし、先ほども言った通り、「こうすればいい」という思い込みが出来上がってしまっているため、そこを変えない限り、なかなか変わっていきません。
では、どうしたらいいのでしょうか?
発達障害の方が思い込みが激しい傾向にあるということを知っておく
まずは、発達障害の方が、思い込みが激しい傾向にあるということを理解しておくことが大切です。
あなたも、誰かに、自分の考えを否定されたら、意固地になってしまうことがありませんか?
それと同じで、発達障害の方の思い込みを、無理矢理直そうとしたり、怒ったり、責めたりしてしまうと、逆に、その思い込みを強化させてしまうことがあります。
まずは、そういう傾向を受け入れておくことで、冷静に、正しい対策をスタートすることができます。
事前にルールを決めておく
問題行動へとつながる思い込みに縛られる前に、ルールを決めておくという対策方法です。
例えば、発達障害のお子さんは、一度、特定の遊びにハマると、なかなかやめられないことがありますよね。
一度、楽しい!と思い込んだら、それをずっとしてしまうのです。
ブランコを始めたら、次の人が待っていてもずっと降りない。
積み木を始めたら、他の人には絶対譲らない。
ゲームをやり始めたら、止まらない。
やめさせようとすれば、暴れる・怒る・泣く…。
このようなことが起きてきます。
これを防ぐためには、事前にルールを決め、伝えておくことが大切です。
ブランコは、○回こいだら、終わりね!
積み木遊びは、○時までね!
ゲームは、1日30分っていうルールだよね!
といったようにです。
こうすることで、ルールという土台を作っておくことができ、発達障害の方が、問題行動へとつながる思い込みに縛られることを防ぐことができます。
ルールを伝える上で大切なことは、数字や図などを使って、発達障害の方が理解しやすいように伝えること、そして、繰り返し何度も伝えること。
そして、ルールを守れたら、しっかりと褒めるようにしましょう。
そうすることで、発達障害のお子さんの中で、「褒められて嬉しいし、こっちの方がいいじゃん~!」となり、思い込みから抜け出しやすくなります。
今回は、子どもを例にしましたが、この対策は、大人の発達障害の方にも使えます。
ネットサーフィンは30分で終わりにしよう。わかりやすいようにアラームをかけておこう。
夜更かしせず、○時には寝るようにしよう。
実践できたら、褒めよう。(自分で自分を褒めるのも良いですね)
というようにです。
本当に?何で?と聞く癖をつける。
発達障害の方は、多くを考えることが苦手なため、思い込みが激しくなってしまうのでしたね。
しかし、「本当に?」「何で?」と聞くことで、少しずつではありますが、自分で考える癖をつけることができるようになります。
例えば、「自分はダメなやつだ」という思い込みが激しく、落ち込みやすい傾向にある発達障害の方がいたとします。
こういった時、多くの人がやりがちな対策は、何とか立ち直ってもらおうとして、「そんなことないよ~!あなたはダメじゃない!」と励ますことです。
一見、良い対策なのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれませんね。
ただ、先ほども言ったように、発達障害の方が持っている思い込みを否定するだけでは、そこから抜け出すことへはつながりません。
否定されると、そこに居座ろうとする心が働くからです。
そういった時は、相手の思い込みを、「そう思うんだね~」と受け入れた上で、
「何であなたは自分はダメなやつだと思うの?」
と、聞いてみるのです。
周りの人が聴いてあげるのも良いですし、自問自答しても良いです。
すると、そこで理由を考えますよね。
その理由を知ることで、自分がいつ、何で、そう思い込むようになったのか?を思い出すことができるようになっていきます。
「昔、私はあんな失敗をしたから、自分はダメなやつなんだ」
「私は、コミュニケーションがうまくできないから、ダメなやつなんだ」
理由がわかれば、トレーニングなどの対策をすることもできますし、出てきた理由に対して働きかけることもできます。
「本当に、失敗をするのはダメなのかな?」
「本当に、コミュニケーションが苦手だとダメなの?」
そうすると、自分の思い込みに対して、別の視点が生まれやすくなり、抜け出すことへつながります。
失敗して学べたこともあったし、意外と失敗はダメなことではないかもしれない…
コミュニケーションはこれからスキルトレーニングをしていけばいいし、コミュニケーションが苦手っていうのも話す時に一生懸命さが出て良いかもしれない…
といったようにです。
簡単に説明してしまいましたが、思い込みに対して、「本当に?何で?」と問いかけてみることは、思い込みから抜け出す上ですごく重要です。
発達障害の方が弱い傾向にある、「メタ認知」という客観的に認識する能力を高めることへもつながります。
ただ、思い込みがあまりにも激しい場合、「本当に?」と発達障害の方に聞いても、「そんなの当たり前じゃん!」と怒り出してしまったり、別の視点をなかなか見いだせないことも多いです。
そういった時は、次の対策をしてみるのもおすすめです。
認知行動療法や観念修正療法を受ける
心理学では、思い込みのことを「認知」や「観念」といいます。
認知行動療法や観念修正療法といった心理療法は、思い込み変えていくことができる心理療法です。
ここまでご説明した通り、発達障害の方は特に、激しい思い込みに縛られやすいです。
そのため、それらを自分や家族だけで変えていくことは大変です。
しかし、発達障害専門のカウンセラーに相談し、認知行動療法や観念修正療法を受けることで、それらを変えていくことができます。
思い込みが激しくて困っている…という方は、一度相談してみるのも良い対策方法ですよ。
思い込みがあるのは悪いことじゃない
ここまでお読みいただいているあなたは、思い込みって悪いものなのかな…と思われてしまったかもしれませんね。
しかし、思い込みがあるのは悪いことではありません。
例えば、ポジティブな思い込みは、行動の原動力にもなりますし、何かしらのものにすごく熱中し、それが才能となる人もいます。
ですので、思い込みがあること自体は決して悪いことではありません。
ただ、その思い込みが強いもので、発達障害の方ご本人や周りの人を困らせるようなものであれば、変えていくことをおすすめします。
ということで、今回のブログでは、「発達障害の方の思い込みへの対策方法」をお伝えしました。
ご参考にしていただければ幸いです。
では、今日は、発達障がい支援センターの神谷今日子がお送りしました。