発達障がい支援センターの青芝夏樹です。今日は、診断基準で使われるDSMについて書きたいと思います。
アメリカ精神医学会が作成している「精神障害の統計・診断マニュアル」のことをDSMといい、1952年にDSM-Ⅰが作成されました。1994年のDSM-Ⅳから実用的な診断基準となり、2013年に最新版のDSM-5が出版されました。
なぜか、ギリシア数字のⅣからアラビア数字の5となりましたが、理由は説明されていません。
DSM-5の大きな特徴の一つとして、『多軸診断システム』が廃止され、『多元的診断』が導入されたことです
多軸診断システムというのは、第Ⅰ軸(精神疾患)、第Ⅱ軸(知的障害パーソナリティ障害、第Ⅲ軸(身体疾患)、第Ⅳ軸(心理社会的問題)、第Ⅴ軸(機能の全体的な適応評価)の多様な軸を準備して、それぞれの側面から総合的に診断していこうとするシステムです。
多元的診断とは、各種の精神疾患・パーソナリティ障害・発達障害の重症度(レベル)を『パーセント表示』で表そうというものです。
DSM-Ⅳでは、
①非言語コミュニケーションの障害
②コミュニケーションの障害
③想像力の障害
によって診断していました。このうち、②コミュニケーションの障害が軽度な者をアスペルガー障害として診断していました。
DSM-5では、
①社会的コミュニケーションおよび相互関係における持続的障害
②限定された反復する様式の行 動、興味、活動
の2点にまとめられました。
診断年齢にも変更がありました
DSM-Ⅳ 小児期に焦点化
DSM-5 すべての年齢に対応
これにより、大人になってから発達障害と診断されるようになってきたのです。
考え方の一部も大きく変わりました
DSM-Ⅳ できないところに照準を合わせ、改善させることで社会に適合させる
DSM-5 「得意なこと」に目を向けて、その能力をいかそう
と変わってきています。
仕事のことに当てはめると、
できないことを克服して定型発達と同じ道を進ませる方法から、得意な所を伸ばしてそれを仕事にさせる方法に変わってきたということです。
しかし、日本の発達障害支援は、まだまだ苦手なことを克服させる支援が多いようです。
ただ、苦手なことを克服するところにウエイトをかけると当事者にとっては辛いことになります。
できないことを克服しても、良くても普通の人です。得意な所を伸ばすと普通の人より楽に上達できるのです。
ここで大切なことは、特技を仕事にするには、能力を伸ばしてくれる人に出会わなければならない。それによって特技仕事にできるか決まってくるのです。
当発達障がいセンターでは、特技を見つけその能力を伸ばすお手伝いができます。
ぜひ、当発達障がい支援センターにご相談ください。