こんにちは!
発達障がい支援センターの黒瀧素子(くろたきもとこ)です。
子育て中のあなたは、
・うちの子どもが人のせいにばかりしてい、自分が悪いとなかなか思えないことがあるのはどうしてだろう?
・うちの子はすぐ被害者になってしまう
・うちの子は被害者意識が強いなぁ
と思うことはありませんか?
発達障害、特に自閉症スペクトラムがあると、
被害者意識を持ちやすい傾向が見られることがあります。
どうして発達障害、特に自閉症スペクトラムがあると被害者意識を持ちやすいのでしょうか?
発達障害・自閉症スペクトラムがあると、主観的な物事の見方にとらわれやすく、客観的なものごとの見方がなかなかできない傾向があるので、自分の思い込んだことにとらわれやすくなるからです。
そこで、相手や出来事が悪いといったん思い込んでしまったり、
自分の中にある『~じゃなきゃいけない』『~に決まってる』などという思い込みがあると、
その考えにとらわれてしまうので、
そのように思い込んでいることに合わない出来事が起きると、
『~じゃなきゃいけないのに~じゃない』
『~に決まってるはずなのに違ってる、こんなはずじゃなかった』
と被害者になりやすくなってしまうのです。
この思い込みのことを『観念』と言います。
『観念』とは主観的なものごとのとらえ方です。つまり人それぞれ違うのです。
被害者になるか加害者になるか、それともどちらにもならないかは、 その人が持っている『観念』 で決まります。
発達障害・自閉症スペクトラムの子どもだけに限ることではありません。誰でも親のあなたも、被害者になるか加害者になるか、もしくはどちらにもならないのかは、どんな観念を持っているかによって決まるのです。
どんな観念を持っているのだろう?
お子さんがどんな観念を持っているのかを知るにはどうしたらよいのでしょうか?
お子さんがどんな観念を持っているかは、
『言葉』と『表情やしぐさ』に表れてきます。
例えば、お子さんがこんなことを言っていたとします。
・「あいつのせいで、〇〇できなかった。」
・「⬜︎⬜︎がこんな事言ってきたから、イヤな気分になったよ」
・「学校で出る課題が多すぎて、もう私には無理〜」
など、相手や出来事が原因でできないんだ、などという言い方をする場合、被害者になる観念を持っていると言えます。
子どもの被害者意識が強い場合・客観的な見方を鍛えるトレーニングはどんなものがある?
では、子どもの被害者意識が強い場合、どんな対応をしたらいいのでしょうか?
子どもの被害者意識が強いなと思われるときは、客観的な見方ができるようなトレーニングを行っていくことが大切です。
お子さんの客観的な視点を持てるようにしていくトレーニングとして、様々なものがありますが、
ご家庭で取り組みやすいものとして日記を書くという方法をご紹介します。
紙に書きだすということはアウトプットすることなので、客観的になりやすいのです。
日記を書くときは、『客観日記』と『主観日記』に分けて書いていきます。
『客観日記』・・・客観的に誰が見ても同じく思えるような『出来事』だけを書く
『主観日記』・・・自分の気持ち・思ったこと・感じたことだけを書く
客観的な『出来事』と主観的な『自分の気持ち・思ったこと・感じたこと』を分けて捉えられるようにしていくのです。
発達障害があると、なかなか自分の気持ちを言い表すことができない子どもも多いです。
子どもがなかなか自分の気持ちに気づくのが苦手だったり、自分の気持ちがなかなかわからないお子さんだったら、親のあなたが、いろいろな感情を表す言葉を例にあげて問いかけてみましょう。
お子さんにフィットする言葉を一緒に探してみてください。
ポジティブな感情・気持ちを表す言葉の例
・楽しい
・うれしい
・居心地がよい
・安心する
・よい
・気に入る
・自信がある
・励まされる
ネガティブな感情・気持ちを表す言葉の例
・できない
・イライラする
・傷つけられる
・怒る
・不安に思う
・さみしい
・悲しい
・怖い
・あきらめようと思う
・不公平だ
・がっかりする
・退屈だ
・難しい
・大事にされていない
などです。
発達障害があると、自分の気持ちになかなか気付きにくい特性があることがあります。
ただ、気持ちがわからないという訳ではありません。
トレーニングしていけば、だんだんと自分の気持ちに気づきやすくなるようになっていきます。(どんな発達障害を持っているかにもよります)
また、ネガティブな感情は否定しないで受け止めることもとても大切です。ネガティブな感情もポジティブな感情も両方受け止めてもらえることで、ありのままの自分でいいんだと子どもが自信を持つことにつながるからです。
お子さんが自分のことを客観的に見られるようになっていくこと(メタ認知が高まっていくこと)によって、
自分の気持ちや感じていることがわかるようになれば、相手の気持ちに気づくことができるようになっていきます。
被害者になるのか加害者になるのかどちらにもならないのかは、どんな観念を持っているかで決まります。
発達障害または発達障害の疑い・グレーゾーンのあなたのお子さんが被害者意識を持たず加害者にもならず、
幸せに生きていけるかどうかは、どんな観念を持っているかで決まるのです。
発達障害または発達障害の疑い・グレーゾーンのあなたの子どもが、
被害者になりやすいな、もしくは加害者になりやすいな、そんな観念を持っているな、と気づいたら、
子どもが客観的にみることができるような取り組みをぜひ日常に取り入れてみて下さい。
すぐにできるようになるものではありませんが、やった分だけ子どもに必要な力が身について、
幸せに生きていく力につながっていきますよ。