こんにちは!
発達障がい支援センターの黒瀧素子(くろたきもとこ)です。
発達障害・グレーゾーンの子どもを育てている親のあなたは、
つい感情的な言葉を子どもに言ってしまって、自分を責めたり自己嫌悪におちいったりすることはないですか?
「これができなければだめだよ」
「やると決めたことはやらないといけないよね」
言ってしまってから、
これでは子どもを傷つけてしまう
もっといい言い方はあると思うんだけど、どう言ったらいいのかわからない
といったことはありませんか?
今回は、”どうしてよくないのか”ということと、”どう言ったらいいの?どうしたらいいの?”ということをお話ししますね。
「これができなければだめだよ」
●どうしてよくないの?
この言い方だと、『これができないあなたはダメな人間だよ』という意味にとらえられてしまう可能性があります。
つまり、子どもは自分はダメな人間だと人格を否定されたととらえてしまう可能性があるのです。
普段の親子関係や子どものとらえ方や性格などにもよるので必ずということではありませんが、人格を否定されることは子どもにとっては辛いことであり、後に様々な影響が出てくることもあるので注意が必要です。
何かをできないことと、子どもの人格・人間としての価値は関係のないことです。
まず、そのことが本当にできなければならないことなのでしょうか?そこも考えてみて下さいね。
子どもの自我ができるのは、だいたい思春期のころです。特に自我がまだできていない幼い子ども、言葉をそのまま受け取ってしまう特性のある子どもには、親のいうことは深く刺さって、子どもの観念になってしまうのです。人格を否定されたと感じた子どもは、
『自分はダメな人間なんだ』
と自分を否定するようになってしまう可能性があります。
○どう言ったらいいの? どうしたらいいの?
『〇〇ちゃんのことは大好きだよ。ただ、あなたのやっていることはよくないことなんだよ。』
『どんな○○ちゃんも愛しているよ。このようにすればいいんだよ。』
というように無条件の愛を伝えて、どのようにすればよいかという他の方法を教え諭すように伝えるようにしましょう。
ポイントは
行動と人格を分けて伝えること
です。
ふだんから、日常生活の中で、どんなあなたも認めているよ・愛しているよということを伝えていくことが大切です。長所と短所がある、いいところや優れているとこととわるいところや劣っているところがある、どんな自分であっても親にまるごと認めて受け入れてもらっている子どもは、不完全な自分をまるごと受け入れることができるようになっていきます。ありのままの自分を認められる、つまり自己受容ができるようになっていきます・
自己受容ができることは大切です。自己受容ができると、自己肯定感も生まれます。ありのままの自分を受け入れることができると、自分に自信を持つことができるのです。
人格を否定する言葉はいけません。どんなあなたても、あなたのことは人間として認めているということを知らせていくことが大切です。
発達障害の特性で、言われた言葉が深く刺ささりやすく、言われた言葉のとおりに自分はこういう人間なんだと信じてしまいやすいとうこともあるので気をつけてくださいね。
「やると決めたことはやらないといけないよね」
●どうしてよくないの?
この言い方だと、『やると一度決めたら、最後までやるべきだ』という親の価値基準を押し付けている可能性があります。価値観を押し付けられると、子どもは自分を大切にされていないと感じたり、自分に自信がなくなってしまうことがあります。
また、『途中で変えてはいけない』という思い込みを子どもに植え付けてしまう可能性があります。
「やらないといけない」かどうかは子どもが自分で決めればよいことかもしれません。子どもに決めさせること、子どもの決めたことを尊重することが、子どもを一人の人間として認めていることになるのです。
○どう言ったらいいの?どうしたらいいの?
自分でやると決めた場合・親子でやるという約束を決めた場合、などあると思います。
やらないとどうなるかがわかる場合は親から伝えたり、子どもに考えさせたり、または何も言わずに見守ったりと、場合によっていろいろな対応の仕方があると思いますが、もしやらなかった場合は、やらなかった場合の結果を子どもに体験させること、つまり自分のしたことの責任を自分でとらせることが大切になります。
つい手を貸したくなってしまう親の気持ちがあるのもとても分かるのですが。長いスパンで考えて、子どもが失敗から学んでいく力があるということを信じて、手を貸したくなる気持ちをぐっとこらえて見守ることが、子どもが自立していくために大切なことです。
やると決めたことをやらなかったときに、子ども自身がイヤな思いをしたり、きまりが悪い思いをしたり、損をしたりといった失敗を経験をすることで、子どもが自分の頭で考えて、自分でなんとかしようという気持ちにつながり、自立していくことにつながるのです。
子どもに失敗させたくないと、親が先回りしてやってあげたり手伝ってあげたりすることで、親が手つだってくれるんだ、と子どもが学習してしまうおそれがあります。そうすると、自分でやろうという気持ちの芽が摘み取られてしまうことになるのです。子どもの自立のチャンスを奪ってしまうことになるのです。
発達障害の特性で、実際に体験しないと実感としてわかりずらいということがあります。ASD(自閉症スペクトラム)やADHDなど発達障害やグレーゾーンの特性で想像することが苦手だと、自分の感情をコントロールするのが難しく、目の前にある欲求に走ってしまいやすいのです。
今回は2つの言い方を例に考えてみましたが、日常つい子どもに言ってしまって「しまった」と思わないように、子育ての言葉を学ぶことは、いい親子関係を築くためにも、子どもの自立のためにも大切なことです。
日本では昔から言霊(ことだま)という言葉があるように、言葉には力があります。
子育ての言葉を気をつけることによって、子どもの自立を応援していきたいですね。